研究サイト

ボリナオ及び周辺沿岸域(ルソン島)
Laguna Lake
ルソン島北西のリンガエン湾に位置するボリナオのサンゴ礁域は裾礁地域に分類される。潮間帯のサンゴ礁帯は礁原 (reef flat)と礁斜面 (reef slope)からなる。礁原においては、比較的深い礁湖 (lagoon)が海岸線近くに存在し、北に向かって礁嶺 (Reef crest)に至るまで水深は浅くなり、礁斜面では再び深くなる。最大の礁原域を持つサンティアゴ島では、海草藻場とサンゴが高密度で生育している。数的シミュレーションにより、サンティアゴ島礁原の東側は、サンゴ幼生の潜在的な繁殖適地であることが分かっている。内部の礁湖は、地元やマニラで消費されるミルクフィッシュ (Chanos chanos)の広範囲に及ぶ集中的な養殖地として使われている。養殖いけすの無規制な増設は深刻な富栄養化を招き、本沿岸生態系の急速な劣化を引き起こしている。

 

マニラ湾-ラグナ湖(ルソン島)
Laguna Lake
フィリピン最大の都市であるマニラ首都圏に隣接するマニラ湾およびラグナ湖は、経済および環境の面においてフィリピンで最も重要な水域の一つである。両水域は周辺地域に様々な生態系サービスを提供しており、流域内外の様々な利害関係者によって構成されている。世界有数の入り江として知られているマニラ湾 は、フィリピンの国際貿易における重要な拠点であると同時に水産業や養殖業、農業といった生計手段を多くの人に与える場となっている。一方ラグナ湖は養殖 業、灌漑、洪水調節、家庭給水、航行、発電といった多目的な機能を持ち合わせた水資源環境である。どちらの生態系も豊かな生物多様性を有する生物資源の宝庫であるが、近年周辺地域の都市化や人口増加に伴う乱開発と乱獲によって生態系の健全性や経済的価値への影響が懸念されている。周辺流域から流れ込む未処理水による環境負荷の増加は主要な懸案事項であり、水域環境の劣化は漁業生産量の低下を引き起こし、底層での貧酸素水塊やアオコの発生およびそれに起因する魚の大量死といったイベントの発生頻度を増加させる要因となっている。乾期のラグナ湖では湖水位が平均海面水位を下回ることでマニラ湾の海水がパッシグ川を通じて流れ込み、湖水が汽水環境となることで漁業や養殖業が促進される同時にマニラ湾およびマニラ首都圏からの高濃度の有機物や栄養塩が流入する要因にもなっている。

 

プエルト・ガレラ-ベルデ島海峡 (ミンドロ島)
Puerto Galera
フィリピンのミンドロ島にあるプエルト・ガレラは、約4km2の入り江のような沿岸礁湖で、南シナ海とシブヤン海を結ぶベルデ島海峡の中心に位置する。自然の港として理想的な条件を兼ね備えているだけでなく、フィリピンで最も有名なダイビングスポットの一つとして知られている。礁湖には多様な海洋生物が棲み、サンゴ礁や海洋資源を形成し、礁湖はまさにサンゴ、海草、マングローブなどの熱帯の海洋動植物の多様性の宝庫である。この地域は1977年に、自然環境の保全と生物多様性の保全において世界的にその貴重な重要性をユネスコ(UNESCO)によって国際的に承認された「人間と生物圏(MAB)保存地域」に指定された。一方、ベルデ島海峡は、様々な海洋生物が棲んでおり、地球上の海洋の多様性の「中心の中心」と称されている。
このような豊かな自然は、地元だけでなく海外の旅行者からも注目を集め、観光業が発展してきた。だが一方で、近年の人口増加と多くの観光客の流入により、市民により無秩序な開発も行われてきている(Fortes, 1997)。プエルト・ガレラとベルデ島海峡の沿岸環境は、今や著しい人為汚染負荷による環境ストレスにさらされている。

 

ギマラス海峡(ビサヤ諸島)
Iloilo
ギマラス海峡はパナイ島とネグロス島の間に位置しており、フィリピンにおいて漁獲量の多い地域の一つとして知られている。この地域の漁獲量は年平均50,000トンを越え、フィリピン全域の海産物供給量の中で大きな割合を占める。沿岸域の急速な発展に伴う人口増加は、交通網の発達、都市化、観光業や食品産業での歳入増のような経済的利益をもたらした。しかし、いくつかの要因はこれらの利益に欠かせない生態系を脅かしており、結果として、この地域もまた人為的な環境汚染下にあると言える。2007年、ギマラス海峡では大規模な原油流出事故が起こった。流出した原油は、ギマラス島の5つの自治体のうち3つの自治体の海洋保護区やマングローブ林に悪影響を及ぼし、また、イロイロ州やネグロス州にまで到達した。専門家は、水産資源の豊かなこの地域でのサンゴ礁やマングローブ林への長期的な事故の影響について懸念している。

 

ラギンディンガンおよびロペス・ハエナ(ミンダナオ島)

Lopez Jaena
ラギンディンガンおよびロペス・ハエナはともにミンダナオ島北部中央の海岸沿いに位置し、CECAMプロジェクトのカウンターパートの一つであるミンダナオ州立大学ナアワン校(MSUN)から車でアクセス可能である。これらのサイトは、同プロジェクトのその他のサイトと比べて健全な環境が多く残されているため、他サイトの比較対象にも位置づけられている。また、両サイトにある海洋保護区周辺では、MSUNのメンバーを中心に生態学的な研究が近年盛んに行われている。